「山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に」 水戸芸術館 現代美術ギャラリー

長い時間だなぁーと思うようなことも、今がどんどんファストになっていっての、それが通常になってしまった異常さがある今だからこそ、そんなふうに長いと感じてしまう。



別に長くないと思う。巨大な飴玉を小さくなるまで舐めることも、たくさんのサイコロのゾロ目が出るまで振り続けたり、お互いのテレパシーを感じとるまでの時間というのは。




愛犬が私たちと同じ真似事をし始めるまでの間も、流れ星を待つ間も。


なぜ、それを長く感じるような、1.5倍速や2倍速が通常の世界となってしまったのか?




それは私たちがそれを望んで、実現されてしまったからなんだけど、今一度この速度をとりすべく発展していくべきなんだろうと常日頃ここ数年はそればっかりを思います。







1日や数ヶ月、変わらず同じことをしてていいはずなんだけど、その1日という箱に時間をどんどん埋め込めるようになっちゃって。それがかえって、1日を短くさせているこの、さもしさ。




1日にぴったりな、1日を過ごしたい。その1日という速度、1分1秒という速度が、そうだったと、思い出させてくれる展覧会でした。





私たち”Me”は、そんなに器用じゃない。そんなに遠くへもすぐには行かないはずだ。自転車や徒歩のスピード。花が咲く季節に。

 



   

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