「熱海殺人事件」つかこうへい

なんかの話の流れで「蒲田行進曲ですね～」と話していたら、

「つかこうへい？熱海殺人事件でしょ！」と

すすめられていたのを思い出して見たら、つい涙がでてしまった。

服にしても演技にしても、風潮にしても、

トレンディーな匂いがするなぁーと思ってる前半から

むむ？これは、古いというよりも先ず、おかしいぞ？と。

その狂ってる源泉が純度の高い悪気で胸を打たれます。

ギリギリ許されない冗談のような本気で、

カオスな無法地帯をつくって範囲を壊すというのは、

今じゃ炎上してしまいますが、映画だからというわけではなくて、

割と人の生きる世界として面白いんじゃないかと思えました。

なんだか子供の頃に比べて街に活気というか、

良い意味でのだらしなさがないなぁと感じるのは、

範囲を越える人が鎮火させられる準備を

そこかしこで、もうされているからなんでしょうね。

出演している役側それぞれ誰もが主人公。

容疑者も刑事も、通行人も恋人も。

「人ってこんなもんよ」と、

完璧を目指そうと欠けまくり合う人生模様がステキで、

今じゃー倫理規制がかかってしまうだろう、

ピリッと髄をえぐられるような体感ある優しい映画です。