「お葬式」伊丹十三
タンポポを見た時には、特に印象に残らなかった (忘れてしまった) けれど、これは凄まじく響きました。もう何度もずっと見たくなる世界。(と、思って予告を見たらたぶん全く見た事がなかった…!)
子どもは何も気にせずに、はしゃぎ回る。通夜に来る飲み食べするだけの三羽烏。ふいの不倫。妻たちの役割。映画という虚実の世界の、入れ子な感じ。セリフなのか、これは俳優にもいつかくる実体験として映るのか、混在してしまう感じ。悲しいのに、悲しいわけじゃない。そして、どこかしらに面倒さがあり、でも、みんなが葬式後には何か世界が変わっている。
全てが私の中でのどんぴしゃ。俳優も素晴らしくて。「秋刀魚の味」の笠智衆。菅井きん。山崎努。あっ尾藤イサオ・・・!宮本信子。
と、調べてみたら、監督の伊丹十三さんも元は俳優だったんですね。しかもその宮本信子さんと伊丹十三さんは夫婦!そして、リアルな信子さんのお父様の葬式がきっかけでこの映画をつくったとか・・・そういうことでしたかっ!葬儀屋さんがお坊さんとなにやら怪しく映っているシーンがあるのも、きっと実体験として心に残されて、脳内変換されたようなワンシーンだったのでしょう。
自分が子どもの頃、実際に家で祖父のお葬式をした時のことをマジマジと思い出しました。足の痺れ、料理。菊。通夜までの間にどっかへ行く感じ・・・
この世とあの世の日は、案外とあっけらかんとしていて、悲しいとは違う・・・久しぶりに顔を合わせる親類の方へと、注力が注がれる感じ。そうでもないと集まるきっかけもなく「死」という繰り返しのメカニズムは、血縁を感じるためには必要なサイクルと強く思わざるをえないこの日。
とにかくカメラワークが好きでした。お葬式の時に、目が行くであろうアップの何かが、ちゃんと映っていて、お葬式をしているところが映っているよりもリアルな葬儀感なんです。それぞれの映されている風景、もの、タイミング、時間、全てが葬式でした。
クレジットには、井上陽水が電話を取り継いでた役を!?と。細かいところまで、本当にこだわり抜いている珠玉な映画でした。あー、ずっと見ていたい。







