NGMA NATIONAL GALLERY OF MODERN ART / ムンバイ
政府系の美術館は街ごとに訪れたい、と予定に入れつつも、ギャラリーのオーナーからもオススメもされました。やっていたのはオンリーテキスタイルの企画展。外国人の入場料はいつも500ルピー。インド人は1/25の20ルピー(約40円)ぐらい。日本も観光大国なわけだから日本人の入場料を安くすればいいのに…!!そう思わないですか?私も海外にせっかく来たならと普通に気にせずに払いますもん。…ちょっとは気になるけど。
日本の中のテキスタイルの位置付けって、やはりまずは工芸に入る?とは思うのですが、なぜオススメされたのか見ていて納得。
2Fに行くとガンディーをテーマにしたコーナーが。そうか、そういえばガンディーは糸を紡いでいたんだよねぇ。あのマーガレットバークホワイトが撮ったガンディーの有名な写真が浮かびます。だからテキスタイルというのは、インドではガンディーからの流れなのですね。思えば、なぜガンディーは糸を紡いでいたのでしょうか。と、ふと疑問になって調べて見たら…
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植民地時代、イギリス人を追い出すだけでは意味がない。綿花を育て、糸を紡ぎ、服を作るという循環を、自分たちで改めて、失ってしまった手仕事をもう一度、とり戻すことが大切。
肉体を使って働くことが大切。そして、糸を紡ぐには忍耐力や集中力や、心を落ち着かせることが必要。それは、相手の暴力に非暴力で立ち向かえるような力でもある。
糸つむぎをするには、暴力的な力はいらない。力づくだと無理が生じて糸が切れてしまうから。
だから、チャルカ(糸を紡ぐ道具)が、1回転するごとに愛や平和、親善が紡がれる。
そこには、意図的に瞑想をせずとも瞑想と同じような時間がある。
労働が苦役になったのは機械化のせい。資本家が富を絞りとろうとしている。自分で自分たちが使うものを作ると喜びに変わる。
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The Damask Rose
Shawl
Silk, Cotton and Zari
Brocaded, weft-substituting twill weave, on a traditional Varanasi 'naqsha' loom
Designed by Rahul Jain
Created by Naseem Ansari and Family
Varanasi, Uttar Pradesh
2023
というので、非暴力、平和の象徴しての糸、もっといえばインド独立の象徴としてのテキスタイルでもあるわけだったのですね。ガンディー関連のイベントでは、みんな24時間かけて糸紡ぎをしたりもするだとか。
Sculpture
Tea, Watercolour, Acid Free Paper Hand Cutting and Hand Weaving
Harendra Kushwaha
2023
これは面白かったなぁ。紙を極細ーく割いていって染めてる?っぽいのですが。これは糸ではないけど、時間をかけて紡ぐように制作する点では同じですね。
Telia
Saree
Handspun Cotton, Natural Dyes
Plain weave with yarn tie & dye (bandha or ikat)
Designed by Gaurang Shah
Created by Gajam Anjaiah Puttapaka, Andhra Pradesh
2017
かすり?のような技法もあって、地味なんだけどこれって、どれくらいの極細の糸をどれくらいの時間をかけて作ったんだと考えると。
他の機織り作品も8ヶ月くらいかけて作ってるとか、写真と比べると、もう1枚にかける時間が途方もないけれど、イスラム教とヒンドゥー教の対立を止めるために断食をしたガンディーの体感時間に比べれば。。。
Carnations
Fabric Length
Silk
Patterned silk velvet, woven in three colours of pile, on a traditional Indian drawloom
Designed by Rahul Jain
Created by Shamim Ansari and Family
Varanasi, Uttar Pradesh
糸の色を変えるとか、染めにこだわるとか、1度でも織り間違えたら戻れないあたりもやっぱりテキスタイルの良さだよなぁーと。やっぱり女性に人気で来場のほとんどが女性、私と同じような観光客でした。
Kabuliwala
Panel
Tasar Silk
Plain weave with hand quilting and embroidery (kantha)
Designed and created by team at SHE Foundation
Bogula, West Bengal
2021-23
にしても、やっぱりタド族!の村には行きたいなあー。大自然の中で、布を縫う映像にはものすごい惹かれました。お金がなくとも、幸せな日々を送れる象徴のようです。
ムンバイのNGMAは、垢抜けてて警備の方もみなさん笑顔でステキでした。相変わらず言われるのは「ノーセルフィー、オンリーピクチャー」つまりは、作品だけ撮ってねってことであんまり展覧会風景をたくさん撮ってると突っ込まれます〜っ