「おしん」橋田 壽賀子

 


口減らしのために、奉公さ行かされて。雪の中で、叫んでて。
と、そんなシーンの知識しかなかったからこらこそ見続けていて、びっくり壮大な橋田壽賀子人情劇場。

他の国でも絶大な人気があるのは知っていたのだけれども、
ほんとにウルっと、グサッとくる。
おしんは厳しい環境に奉公さ行かされるんけれども、
その厳しさが後にはおしんの支えとなっていて。
度々起こる割とわかりやすめの事件から、続きが当たり前に気になってしまう。
朝ドラにハマる時は、たしかにこんな感じだったなぁーと思いながら、
奉公しているおしんの身分だからこそ見えてくる、
同じ奉公人への同情ではない人としての当たり前に抱く気持ちとか、小作人の思いとか。
大正デモクラシーを生き抜いて行く感じが肌感覚としてピリピリとしてて、いかに、今まで戦ってきたか。
かといって、おばあが口酸っぱく言うような昔ながらの典型的な女の幸せというのも、
選択として全然、間違ってるわけじゃない。むしろ、それを言うおばあの気持ちには、割と本当の愛情があるところがいい。
出会う人の愛とか気持ちの表出の仕方は違えど、
たとえ憎まれようとも、なにしようとも体裁よりも、芯が通ってる人はかっこいい。
どうしても反骨精神や、白い目みたいなもんは誰にだって付き纏うんだけど、
おしんは、どうしていつでもあんなに
自分の居場所を、今までなんにも無かったかのように空け与えることができるんだろうか。
あっという間に、一からでもなくゼロからスタートしたって、いい。
だいこん飯で、いい。
アカギレになりながら、凍った川の水で洗濯さ、してもいい。
そんな強さは、奉公からしか生まれんかもしれん。
身体に身につくということが、どういうことか、
おしんを見てると、いかに自分が多くの無駄な時間を過ごしてるのか、
ビシバシと、チコちゃんよりも実務的に、ぶっ飛ばされてる気分になります。

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