「都とちひろ ふたりの物語」ちひろ美術館・東京




「Mother's」からの、ひろしま、銘仙、フリーダカーロ。
そして、いわさきちひろ。
石内さんの撮る衣服は、石内さんが撮っているからそれは当たり前なのだけれど、
被爆している服も、いわさきちひろのカバンや靴も、
フリーダカーロのコルセットも、いつでも石内さんの写真になる。
どこか、しばりつけられていた糸がふっきれて、
風に飛ばされるんじゃなくて、飛んでいこうとして、いってしまうような。

改めて、Mother'sを見たら、
それだけは、なにか違う。
"ひろしま" にも、"いわさきちひろ" にも、ならない。
モノクロというのもあるかもしれないけれど、
そこには服が同じく写されているけれど、服ではなくて石内さんの母がいる。
それは石内さんが撮ったから当たり前なんだけど、
Mother's には、逆の何かここに留めておきたいという
居場所のようなものを感じました。( 撮影環境もあるのかもしれない )

大やけどを負ったを肌が、肌でなく見えたり、
見に来ていた年配グループの方は

「なにこれ。乳房ってこんなんなっちゃうもんなの?
   なんかゾウさんみたいね。ケロイドかしら?」

なんていうことも言っていて、

「解説があってほしいわね。なにも分からないわ。」

とも、漏らしつつ。
それとなく感想を聞いていた僕は、確かにケロイドだなーと、
それとなく喋っている感想が、僕にとっては解説のようにも聞こえるのでした。








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