「悪い血」 鈴木 涼美
これは、幅広く共感を産む小説なのではないでしょうか。
読んでいて、少し低く、そしてテンションが一定な、そんな当事者であるその女性の声が文字から立ち上がってきて。生きている上での「罰」やら「罪」というのは、もう生まれ生きている時点で感じざるを得ない、アダムとイブだとして、私たちも、きっとそうなんだと。
何にも罪を犯したことがないです。と言い切れる人は、ほとんどいないだろう、それでもって、罪を犯していないことが罪となってしまうくらいに、みんな知らぬ間になにかしらを自然と背負ってしまっている、その共感が、特に登場する女性のセックスやらの話に関わらず、家族の中に、社会の中に、1人の人の中に、満遍なくあると思う。
そのカルマ的な。正負の法則的な。三輪さんの、腹八部ではなく腹六部にしときなさい的な。
気になるのは、父の存在で、なんだか不運な死を遂げた子どものニュースや、精神を病みそうなタイトルばかりを娘に薦めて。言うなれば、悪い血は、受け継がれてしまうもんなんだ、そういう意味での「血」も語っているんじゃないかと感じました。
「私が罰せられなければ世の中が不公平すぎるという思いはずっとある。」
階段を下ること、歩道橋へと上がることで、回想される記憶の階層が、本当にそういう時あるよな。というメロウな世界でした。そして、まだ名前のついていない感覚を的確に、突き刺さずにそっと流し目(め)的に見過ごしながら表現されたい方なんだなって思いました。
というか、小説読むのが久しぶりすぎる私。。。お父様も翻訳家、本人も元AV女優、とても自伝的でもある物語なのですね。







