「野ゆき山ゆき海べゆき」大林 宣彦




ずっとずっとずっとずっと前から見たかった大林監督のこの作品。
観たいから少年ケニアも、SADAもマヌケ先生だって買ったから、
買っちゃおうかなーと98%思っていたときに、上映されるとあって、
最新作「海辺の映画館 キネマの玉手箱」と合わせて東京国際映画祭で見た。
と、淡々と書いてますが、チケットをゲットしてから、
ものすごくワクワクが止まらない半月でした。
好きな作品、監督の映画館に行くというのは、
それだけでもものすごい…高揚です…!!

フィルム上映とは知らずに、見ていて時折サーーーッと大きく聞こえる映写機の音と、
画面に紛れ込むノイズ。
デジタルだろうがフィルムだろうが、同じ映像なのだけども、
映写機は、人の手が加わっている感じがよりして、
いいなぁーっと思わざるをえなかった。
金曜ロードショーの淀川さんが浮かんだ。
( ちなみに大林監督は、淀川さんの作品も撮っています。)

と、作品に触れずにこんなに書いていますが、
もー、、、なんでしょうか。
キネマの玉手箱は是非、全国公開になってから、、、!なのですが、
30数年前に撮った作品なのに、キネマの玉手箱と伝え続けてることが同じ!で、
色々な作品をとっているように思える(実際そうですが)大林監督は、
本当に、戦争の愚かさを、
一般生活レベルで、これでもかというほどに、伝えてくれています。
若い女は女郎屋に戦争へ行き、
若い男は、戦地に行かなくとも殺されてしまう。
愛や恋に生きる道理の自然さを、戦争という布で隠し曲げてへし折っては、
手品のように、人を人としなくしてしまう。
布の下で起こっていることは、誰ともなしに静かに分からない。
ゴソゴソしてれば、日本以外の敵が、
あなたの存在に気づいて、きっと布の上から砲を放つ。

そんな、誰にも自由がない時代に、死を覚悟で、人を貫いた名もなきストーリー。
それは、花筐にも、野のなななのかにも同じく言えることで、

もっといえば、大林監督がそうなんだと思えました。



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