常民文化ミュージアム (神奈川大学 横浜キャンパス)
宮本常一先生が「旅の民俗学」の著書の中で、渋沢敬三先生とのお話で・・・
「本当の仕事をするにはそれぞれ足場を持たねばならぬ。人はどこかで足を地につけていなければならない。農民の強さはしっかりと足を地につけているからである。よい仕事をしている者もまたちゃんとした足場を持っている。私の祖父は二つの足場をもった。業界に対しては第一銀行を足場にした。社会事業については東京養育院であった。そこから物を見、実事をおこなった。そしてこの二つの足場からは生運はなれることがなかった。私にはアチックがある。アチックから物を見る。アチック的な姿勢で物を見る。君もまた足場を持たねばならぬし、君自身もこれまでアチックを足場にして来た。」
とあり、妄想でなんだか自分への激励の言葉のようにも受け取ってしまった私は、宮本常一さんがアチック・ミューゼアムの一員として研究を続けたそのアチックの風を感じてみたかったのです。( と、尋ねたのは今年の3月頃 )
とにかく展示では、フィールドワークの膨大な聞き取りの整理に"民俗学の基本基礎はこうですよ"と、完成されたものではなく、果てのないフィールドワークの断片を目の当たりにさせて頂けました。どこまでを研究を対象とするのか定まっていないと、聞き取りというのも意味をなさないものだなぁ・・・かといって、それだけを聞いていても、もっと違うところから繋がる話もあるのではないかなぁ・・・それなら一体どこまで記録すればいいのやら・・・と、印象的だったのは、確か漁村地域?の聞き取りのメモとテープのラベルでした。
私は、人の話を聞くのが基本的には好きですが ( 逆に、聞き上手な人には思う存分話すのも好きです ) 、それは単なる世間話を聞きたいわけでもなく、深いところの人生のストーリー、価値観、何を軸に生きてきたかを、相手の語り口から感じられる時間が好きなんです。私でしか生きられないこの人生以外の人生を、追体験できるというか。フィールドワークとしてそうした様々な地域で暮らす人のお話を聞く人生ってのも、なんと豊かであろうなぁと、、、想像するばかりでした。生涯のテーマと研究の足場さえ決まれば・・・・
どうにも"ズボン"というのをいつも履きたくなく、別にスカートを履きたいという極論でもなく、「タツケ」(三重県) の袴のような服装に、遺伝子レベルで惹かれて・・・「藍」の防虫、「刺子」の魔除けの呪術的文様。その意味を全身に纏って暮らしたいものです。そして、てぬぐい。この頃、お風呂上がりの水気をとるために毎日つかっていますが、こんなに速乾で、しかも物も包むこともできる。なんて便利なものなのでしょうと、本当に今更になって、よく旅する身分として骨に身に染みて思ったわけです。なんで使ってこなかったんだ?と。タオルは湿気の多い日本にはあんまり向いていないですよね。
「島の写真帖」。提供をうけてアーカイヴされている5000点以上の写真。調査したい思いと、島民みなさんのこの島の当時の景色と記憶をどうにか残したいという想いからなっているであろうアーカイヴは、大変な温かな意義を感じます。そして、声をあげていかなければ確実に消えてしまう運命にあるもの。そんな消えていってしまう写真を通じた、地域や郷土の活動に関わりたいなぁと思うばかりです。
にしても、大学内にいる学生の多くは、ここの展示を見ることはほとんどないのでしょう。私だって学生の頃は、校内の展示なんてほとんど興味がなく見ていなかった。青春って、そういうもんですよね。学生時代にちょうど勉学の敵歴期が来ている人なんて、少数派だろうなぁと思っちゃいます。学生はいっぱい恋愛して、いっぱい遊びましょう。








