「ロスト・イン・トランスレーション」ソフィア・コッポラ


もう何100回目かの「ロスト・イン・トランスレーション」ソフィア・コッポラ


すごい衝撃をもって、感動し直しまくりました。どのシーンのどの音楽と光とセリフも、なに一つとして欠かせず絶妙すぎる空気感が、実はかなり日本的な間合いだったことに気付いて。こんなに日本的なテンポとズレの笑いのセンスそのものが人生にも繋がっているのは、フランスも同じ感性があるからなんでしょうね。でも、ボブはかなりアメリカンなジョーク。それがまたイイ。


ってか、やっぱりビル・マーレイの表情ってすげーなと。言葉がなくても伝わる。そして、最後のキスはボブ・ハリスのためのキスで、ホテルでの少し冷ためなお別れをしたシャーロットのためのさようならだったんじゃないかなと。…いや、ボディーガードがいたからか。とにかく、最後のあのシーンは、お互いがハッピーすぎる切なさが混じってて、エンディングなのにそこから始まっていく音楽に、いつもいつもわたしの中の何かに触れてきて、想像するだけで涙がやってきますね。あれは、お互いにとっての素晴らしいスタートというさようならなんです。そして、あの高速道路のカットがつながってくるシーンと音楽も大好きすぎて…。そのあとに来るハッピーエンドの風を集めて、そして、最後のヒロミックスまで目が離せなくなってしまいます。


すごいなぁ。。。なんてすごい映画なんだろう。憧れて、新宿パークハイアットへは友達とティータイムとランチには行って、それから結構、何年か経ってから、ふと見たのもあって、さらに違って見えて。あのホテルに泊まるのはまだまだ先ですね。お金の問題じゃなくて、何かあそこに泊まるってのは、自分の中で何かがまだ全然足りない気がします。人生の経験値でしょうか。


休暇でゴルフなんてしてたのか、病院の待合室のシーンで後ろのおばさま方があんなに爆笑してたのか、ダイヤモンドユカイさんはアドリブなのかーとか、この時はまだ路上喫煙普通だったんだもんな、とか。時間が経ったからこそ気づいてくる細かいところに目がいく自分に1番、驚きなんです。


カラオケの歌の中で、もうお互いの告白は済んでたんだとか。ボブは、けっこう何かを求めてたけど、やっぱり妻子ある俳優の立場ってのもあっての一歩手前を感じたり。実はそんなに今は有名な俳優としてバリバリ活躍してない感じなのに、周りからは過去の栄光について話しかけられてしまうのが、またいいんだなってのもあったり。


そこからsomewhere に繋がったのか…と今更すぎるけど、すごく良く分かったんです。

 

何千回と見たって、見ている自分は一人としてあの時と同じ人間じゃない。昨日の私と今日の私は違う。だから何度も見たいし、何度も見て、何度も感動します。

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