文菊師匠の「心眼」

文菊師匠,心眼,手ぬぐいゲット



( 随分と前の話ですが…2018年5月? )


この頃、友人に誘われて寄席に行っている。
初めての末広亭は面白くて面白くて、粋に心の底から笑えるツボな話ばかり。
先日、渋谷らくごを観に行ったんだけれども、
心底、落語の凄さ、面白さ、深い人情を知ったのが文菊師匠の「心眼」。
生放送のカメラが入る中で瞽という言葉が
テレビで使えないことを枕においた目が不自由な人の話。
小さなつぶやくような声の語り口に思わず客席一同、
食い入るように耳をそばだてているうちに、
聞き入ってしまったどころか、江戸の情景にすっかり誘われてしまった。
話に出てくるお寺や浅草の仲見世、階段ののぼり下り、
姿見で初めてみる自分の姿が私には本当に見えるのである。
心眼というジーンと、ズドーンとくる話の内容を伝えるその腕に、
なんというか、終わったあとに見えるガヤガヤとした渋谷の街並みすら
薄暗く感じてしまうくらいの衝撃だったんです。

もの数を尽くす。
というステキな先人の言葉がありますが、
まさしく、もの数を尽くした人の表現でした。
人が人へと伝えるもの。
人が人から伝わるもの。
そこにはPCとがLINEじゃー、溢れまくってしまう
細やかな温かいグラデーションがありました。

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